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独り言


とりとめのないつぶやき
by pooch_ai
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紫陽花とバラ、どちらがお好き?

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  ~音に恋した老人への手紙~








『ミュージン様、お元気でしょうか?

 いつの間にか、もう、6月。いよいよ梅雨の季節の到来かと思うと、一寸ユーウツです。



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 でも、今日、歯医者の帰り道で、生垣を一面ブルーに染めて、紫陽花が咲いているのを見て、ぱぁーと気持ちが明るくなりました。紫陽花は私の大好きな花のひとつなので。






露にぬれた紫陽花を見ると、雨の日も悪くはないなと、うれしくなって、傘をくるくる回しながら、
「ピチ、ピチ、チャプ、チャプ、ラン、ラン、ラン」と、唄いだしたくなってしまいます。』


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と、ここまで書いてきて、果たして、ミュージン様のお国のチェコ(或いはスロヴァキアかも)にも、紫陽花はあるのだろうか、と思ったのだった。


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 私が彼のことを知ったのは、20年以上も前のことである。たま、たま目にした「音に恋した老人」という新聞記事に、いたく感動し、以来、まだ見ぬ異国の老人のファンになってしまったのだった。





 それは、チェコ・スロヴァキア時代のこと。偶然、ラジオの日本語放送を耳にした彼は、ラジオから流れてきた不思議な言葉、「日本語」の美しい響きに魅了され、何年もかけて、少しずつ日本語を習得して行き、その頃には、完全に日本語放送を理解し、心から楽しんでいるとのことであった。


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 異国の言葉の虜になって、独学で日本語をマスターしたという初老の男性。そして「音に恋した老人」という見出し。その両方が、私の心に深く刻み込まれたのだった。



 
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 その後、かの国は、93年に、チェコとスロヴァキアに分離、独立。彼がどちらの国の人なのか、果たして、今でもお元気なのかどうかもわからないのだが、時折、不意に彼のことが思い出され、語りかけるように、彼への手紙を書き続けてきたのである。文字に書くこともなく、決して投函されることのない手紙を。





 まだ見ぬ彼のことを、私は、密かに“ミュージン様”と呼んでいる。本名を覚えていないので、“語学の達人にして、ミュージックを聴くように日本語を愛した”の意味を持たせたネーミングなのだが、きっと、彼も、笑って許してくれることだろう。

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 ミュージン様のお国にも、紫陽花があるかどうかは知らないが、情緒豊かな方のようだから、梅雨に映える紫陽花を見たら、一目で、気に入るに違いないと思っている。



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 『それにしても、どうして、こう、時間の経つのが早いのでしょう。
この間、デジカメデビューをした友人と、玉川高島屋の屋上庭園で落ち合い、ローズガーデン経由で、神代植物公園へ行った日は、爽やかな五月晴れで、まさに、“光と風と緑の季節”と言う感じでしたのに。
 




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 近頃、日本では、ヒートアイランド現象を和らげるため、ビルの屋上を緑化する運動が盛んで、デパートの屋上も、一昔前の遊園地から、公園のような、花と緑豊かな癒しの空間へと、変わってきています。




 特に、玉川高島屋SCの屋上庭園は、ショッピングセンターとしては、都内最大級とか。小さな滝のある緑の芝生には、彫刻が配置され、その間を、子供たちが走り回り、パラソルの下のテーブル席では、家族連れがお弁当を食べたりしていました。



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 そこで私たちも、青空ランチを楽しむことに。友人が、下で買ってきてくれた30品目のヘルシー弁当で、ピクニック気分を味わいつつ、まずは、腹ごしらえを。そう、腹が減っては、戦は出来ませんから。




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 デザートのジェラートは、後のお楽しみにして、何枚か写真を撮ってから、南館にあるローズガーデンへ降りてみました。
丁度、お昼時でもあり、サラリーマンやOL風の若い女性の姿も多く見られましたが、ショッピングがてら、花や緑に囲まれて、憩いのひと時を過ごしている大勢の人たちで、とても賑わっていました。






本当は、この後、友人の住む横浜方面へ行くつもりだったのですが、丁度、「春のバラフェスタ」が開催されていると聞き、急遽、予定を変更。神代植物公園へと向かったのでした。




紫陽花とバラ、どちらがお好き?_c0019055_1722383.jpg マイカーで来ていた彼女は、運転の腕が確かな上、方向感覚が抜群で、カーナビなしで、動き回っているのですが、深大寺へも、迷うことなく行き着けたのには、感服!快適なドライヴを楽しむことが出来ました。




 神代植物公園を訪れたのは、これが初めてでしたが、正門を入り、池を横に見ながら、しゃくなげ園を抜け、ばら園を見渡す藤棚の下のテラスに出たときは、広大な敷地を埋め尽くすように、色とりどりに咲き乱れたばらの花と、むせ返るような、かなり濃厚な甘い香り、そして、おびただしい人の群れに、圧倒され、くらくらと眩暈がしそうでした。




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 まさに、あでやかな美の競演という感じで、カメラは取り出したものの、「凄!」と、あまりの数の多さに、目移りがして、どれを撮っていいものか、もう、たじたじの態。だんだん、疲れてきて、半ば面倒くさいような気さえしてきたのでした。




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 写真に限らず、そうした心理状態は、作品に微妙に反映されるもので、後で、撮った写真を見て、反省させられたものでした。






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 もし、ミュージン様が、カメラをなさるなら、きっと、粘り強く、いいお写真をお撮りになることでしょね。』








 ばらの花と、紫陽花、ミュージン様はどちらの花がお好きだろう?
答えは聞くまでもないこと。にこやかに、「どちらも好きだよ!」と、お答えになるに違いない、と、思ったのだった。


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*写真をクリック→左上に出た小窓を最大化すれば、写真を拡大してご覧いただけます。 
by pooch_ai | 2007-06-02 18:04
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