独り言


とりとめのないつぶやき
by pooch_ai
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ピンキッシュグレーのもやに包まれて

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 友人が、仕事で、マリー・ローランサン美術館へ行って来たから、と、絵葉書と、スタンド・ミラーを、お土産に買ってきてくれた。私が、ローランサンの絵を、好きなことを知っていたから。




 「ローランサンは、極度の近眼だったから、こうした絵が描けたのだ、と、言われている」
高校時代、美術の授業で、一枚の絵を示しながら、彼女独特の画風について、教師の言った言葉に、自分も、強度の近眼である私は、大きくうなずいていた。


ピンクやグレー、ブルーの淡い色調の、もわもわっとした感じは、まさに近視の人間が、眼鏡をはずして、物を見た感じであったから。
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それが、私と、ローランサンの絵との、初めてにして鮮烈なる出合いであり、この日から、彼女は、私にとって、忘れられない画家の一人になったのだった。



c0019055_1237070.jpg「目が悪い(近視だから)ので、よく見えない」と言うと、友人たちは、指を1本、目の前に突き出して、「これ、何本かわかる?」などと聞いたりしたものだ。
その都度、「近眼というのは、近くの物は見えるけど、遠くのものが、輪郭がぼやけて、はっきり見えないの。丁度、薄物のベールを透して、物を見る感じなのよ」と、説明したものだが、ローランサンの絵は、そんなロマンティックなムードに溢れていて、私の心を、強く捉えたのであった。
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一体に、私は、女性を描いた作品や画家たちに惹かれる傾向があり、ルノアールやドガ、カシニョール、ミューシャ、ロートレック、かなり官能的ではあるが、クレムトなどの作品が好きである。
日本人では、鏑木清方、黒田清輝、上村松園、伊東深水など、いわゆる美人画と言われる絵を、愛してやまない。

同じ女性がテーマでも、モジリアニの不自然なほどに首の細長い女性像は、とても好きにはなれないし、逆に、ゴーギャン描くところの逞しい裸婦にも、たじたじとなってしまう。


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私が好きなのは、あくまでも、美しさ、愛らしさ、優しさやたおやかさが感じられ、見ているだけで、心がなごみ、温かなものが溢れてくるような絵なのである。





他人の心無い言動に、深く傷ついたとき、気分が落ち込んでいるとき、腹立たしい思いをしたときなど、ローランサンの絵を眺めていると、ピンキッシュグレー(ピンクがかったグレー)のもやに、すっぽりと包まれているような気分になり、ささくれ立っていた心にも、平安が訪れ、嫌なことも、忘れることができるのである。


「永遠の少女」とか、「少女の夢を描き続けた画家」と言われているローランサンは、「鎮静剤」という詩も書き残している。


c0019055_139910.jpg「捨てられた女よりもっと哀れなのは よるべない女です よるべない女よりもっと哀れなのは 追われた女です 追われた女よりもっと哀れなのは・・・」と、延々と続くこの詩は、恋人であった詩人・アポリネールとの別離の悲しさから、綴ったとされているが、私は、好きではない。


 パリで栄光をつかみ、貴族などからも肖像画の注文が多く、周囲の画家や詩人たちからは、霊感を与えるミューズと讃えられていたという、ローランサンには、似つかわしくないから。
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 一方、アポリネールの方も、「過ぎた時も 昔の恋も 二度と帰っては来ない ミラボー橋の下を セーヌ川が流れる・・・」と、ローランサンと別れた、悲痛な想いから生まれた詩を、発表している。

やはり、高校時代、詩が好きだった私は、「月下の一群」という堀口大学の訳詩集を愛読していた。その中に、この「ミラボー橋」という詩も収められており、「月日は流れ、私は残る」などと、口ずさんだりもしていた。


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ローランサンと、アポリネールが、恋人同士であったことを知ったのは、ずっと後になってからのことだが、その偶然に驚いたものである。



それにしても、芸術家というのは、幸せの絶頂にあるときよりも、むしろ、悲嘆にくれていたり、苦しい状況のときの方が、優れた作品を生み出せることが多いのは、なんとも皮肉な話であると思う。



c0019055_1346642.jpg私は、ここ数日間、8度5分もの高熱が出て、胃腸の具合も悪く、ベッドから離れることが出来なかった。風邪薬のせいで、殆ど3日3晩眠り続けという感じであったが、やっと、平熱に戻り、昨日ぐらいから、食欲も出てきた。


だが、油断は禁物。まだ本調子ではないので、家で、大人しくしていることにして、絵葉書をデジカメで、撮ったり、音楽を聴きながら、久しぶりにローランサンの画集のページをめくったりしているが、体調のすぐれないときには、ローランサンの絵は、私にとっての「鎮静剤」であり、なによりの特効薬と言えそうだ。
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by pooch_ai | 2006-02-01 11:44


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