独り言


とりとめのないつぶやき
by pooch_ai
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春まだ浅き宵に


     ~ベジャールの世界にいざなわれて~




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  東京バレエ団によるモーリス・ベジャール振付の「ザ・カブキ」ハイライトと、「舞楽」、「バクチⅢ」を観て来たが、文句なく素晴らしい舞台で、夢のような世界に浸りきった、春の宵であった。





 「ザ・カブキ」は、アジア文化に深い関心を持つベジャールが「仮名手本忠臣蔵」をもとに、海外公演のために創作した作品であり、「舞楽」、「バクチⅢ」も、同じくアジアをテーマに生み出されたアジアン・ロマネスクの傑作とされている。




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最初の「舞楽」は、雅楽にのせて、ある日本青年が、官能的で魔術めいた儀式を体験する様を表現した踊りだが、幕が上がったとたん、ベジャール・マジックとも言うべき妖しい世界にいざなわれ、観ているこちらまで儀式に参加しているような、ある種の陶酔感を味わわされたのだった。




 次なるプログラムの「バクチⅢ」は、ベジャールが2度にわたるインドへの旅から大きな影響を受けたというヒンズー教をテーマとした作品。
「バクチ」は、ヒンズー語で、“親愛”を意味するとのこと。ヒンズー音楽を用いた3つの挿話からなっているが、今回上演されたのは、3つ目の、破壊と再生の神シヴァと妻シャクティの踊りであった。

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 このシャクティ役に起用され、真紅のタイツに身を包み、長い手足と、しなやかな肢体を駆使して、情熱的で、美しく、力強い踊りを披露したのが、あの私が愛して止まない上野水香であった。



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 私が、彼女の舞台を初めて観たのは、まだ、彼女が牧阿佐美バレエ団に所属していたときのことである。かのローラン・プチをして、「彼女の優美な肢体は、それ自体が一編の詩である」と、言わしめた彼女の生の踊りを、この目で観て見たいと思い、出かけて行ったのが、「デュークエリントン・バレエ」であった。





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 それは、まさに衝撃的な舞台で、以来、すっかり彼女に心酔してしまい、「眠れる森の美女」、「くるみ割り人形」、「ピンクフロイド・バレエ」などを観に行ったが、いつも、うっとりと彼女の踊りに見惚れていたのだった。






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 その彼女が、突然、東京バレエ団に移籍。それまで、男性にしか許されていなかった「ボレロ」を踊ることになったというニュースは、うれしい驚きで、是非、観に行きたいと思ったのだが、母のことなどがあり、その願いは、叶えられなかった。





 
  だから、この夜は、長い間逢えなかった恋しい人に逢うような、胸のときめきを押さえきれなかった。
 「ボレロ」も高い評価を得ていたが、この夜の彼女の踊りには、一種の凄みさえもが感じられ、移籍したことで、一回りも、二回りも、大きく成長したことを物語っていた。


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 だが、なんといっても圧巻だったのは、最後の演目である「ザ・カブキ」であった。
 「ザ・カブキ」は、現代の青年が、「忠臣蔵」の時代にタイムスリップし、武士「由良之助」となって、主君の仇討ちに生き、そして死んでゆくというストーリー。
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 日本が世界に誇る舞台芸術・歌舞伎と、精神文化の武士道を、西欧のバレエという手法で、表現したこの作品は、発表されるやいなや、世界中で大きな反響を呼び起こし、初演から20年を数える今年までに、パリ・オペラ座、ミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場、ベルリン国立歌劇場、ボリショイ歌劇場等々、欧米の有名なオペラハウスで上演され、観客の動員数は22万人を超えているとのことである。

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 それは、噂に違わぬ、興奮と感動の渦巻く舞台であった。ベ・ベン・ベン・ベーンという音楽にのせて、バレエの跳躍や回転で、躍動する若き武士たち。絢爛豪華な打掛をガウンのようにひるがして、コケティッシュな魅力をふりまく腰元たち。



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 そして、血判を押すシーンでの、舞台上を、ころころと転がる巻紙とか、切腹の血しぶきを思わせる垂れ幕や、いろは47文字が書かれた白布が背後に降りてくるなど、大胆な舞台装置と、垂れ幕を巧みに使った息もつかせぬ場面転換。








 歌舞伎の様式美、所作が、バレエと違和感なく調和していて、終始目が離せず、見事な異文化コラボレーションを、心ゆくまで堪能した忘れられない夜となった。

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by pooch_ai | 2007-02-18 18:44


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