独り言


とりとめのないつぶやき
by pooch_ai
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フォトストーリー【平凡な幸せ】

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  ~春風を頬に感じながら~









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 「おじいちゃん、お久しぶりです。今、土浦の駅前も、桜川の土手の桜も満開。おじいちゃんも、天国でお花見をしているのかしら?この間は出張で、法事に来られなくてごめんなさいね。でも、詩絵は、新しい環境問題のお仕事に変わり、毎日が充実していますから、安心してくださいね」

 

 祖父の墓に花を供え、両手を合わせながら、詩絵は、心の中で、そう語りかけたのだった。




 
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 詩絵の父は、男の兄弟2人だけのため、父方の祖父は、初孫が女の子と知って、ことのほかその誕生を喜び、「詩や絵を愛する感受性豊かな女の子に育ってほしい」と願って、詩絵と名づけたのだそうだ。





 だが、幼くして祖父と死に別れた詩絵には、殆ど祖父の記憶はない。
ただひとつ鮮明に覚えているのは、両親に連れられて訪れた、5歳の誕生日のことである。





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 黒いベルベットのワンピースの襟元と髪に、ブルーのリボンを結んだ詩絵の姿を見るなり、「ルノワールの絵のような」と目を細めた祖父に、「ルノ・・・なーに?」と、小首をかしげた詩絵であったが、書棚から1冊の画集を取り出してくると、祖父は、詩絵を膝に抱き上げ、 “青いリボンの少女”の絵を見せてくれたのだった。







c0019055_4325718.jpg 成長するに及んで、ルノワールの絵は、観る者を幸せな気分にしてくれるため、「幸せをもたらす画家」と呼ばれていたと知ったのだが、ルノワールが描いた、ふっくらとした愛らしい少女像や、女性たちを見ていると、ほのぼのとした気分になり、イヤな事なども、すべて忘れることができるので、詩絵にとっても大好きな画家の一人になっていた。

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 祖父との思い出を懐かしみつつ、詩絵は、墓のある神龍寺を後に、道路の向かい側の公園へと向かったのだった。
 昔、亀ヶ城と呼ばれていたという城跡の公園も、丁度、さくら祭りの開催中で、ぼんぼりが吊るされ、花見客目当ての屋台が、何台も並んでいた。


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 その夜、撮ってきた写真をパソコンに取り込んでいると、親友のズズから、電話がかかってきた。
「ねえ、今度の日曜、何か予定ある?ほら、いつか話した風車のある公園で、今、桜草が見ごろだそうだから、スケッチに行こうと思って」



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 通称「ズズ」こと千鶴は、大学時代からの友人で、詩絵とはツー・カーの仲である。目下、水彩画に夢中で、どこへ行くにもスケッチブックを抱えているのだった。



 約束の日、池袋で待ち合わせ、浮間公園へ行ってみたところ、桜草圃場は、風車のある場所からは、かなり離れた一郭にあり、規模も小さくて、いささか拍子抜けの感を免れなかった。


 だが、中央に立つ桜の根元を取り巻くように、ピンクと白の可憐な桜草が植えられ、ところどころに、黄色の「野うるし」が、彩を添えている光景は、のどかで、春風が頬に心地よかった。

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 しゃがみこんで、早速、スケッチを始めた千鶴を残し、詩絵も、シャッターを切りながら、歩き回り、少し離れた人だかりへ近づいてみた。







 何段かの飾り棚に、鉢植えの桜草が並べられ、「水ぬるむ浮間の春のさくら草」と、筆太に書かれた札の横に、「江戸時代の方法による花壇」ともう一枚の札が下がっていて、さらに「江戸時代は、このような花壇に飾り鑑賞された」と、付け加えてあった。


 
 「ほー、江戸時代ねえ」と、棚に並べられた鉢へ目を向けると、一鉢ごとに「初音」とか、「羅生門」、「朱鷺の雛」、「桃の宴」などの名札が立てられており、一口に桜草と言っても、数多くの品種があることに、詩絵は驚いたのだった。

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 その後、二人は、池の端の小道を辿って、風車の近くへ行ってみることにした。
この浮間が池は、都内の公園の中では数少ない、釣りが出来る池とのことで、大勢の太公望たちが、釣り糸を垂れていた。



 ゆっくりと回転している風車の下では、草の上に寝転んだり、シートを広げて、ピクニック気分を楽しんでいる人々や、笑い声を上げながら、賑やかに走り回る子供たちの姿が見られた。


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 詩絵たちも、その仲間入りをして、持参のサンドイッチをぱくつきながら、おしゃべりをしたり、思い思いに、写真を撮ったり、スケッチをして、うららかな春の午後を過ごしていた。



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 風車に近い池の岸辺には、かきつばたが群生しているため、その一帯での釣りは、禁止されていたが、すでに、開きかけたつぼみも、数輪見受けられた。



 突然、それまでスケッチに没頭していたズズが、「どう見ても、これは、どこか外国の田園風景だよね」と、話しかけてきた。


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 「うん、うん」と、大きく頷き返しながら、ここでは、緩やかな時間の流れの中で、誰もが、身も心も開放されて、のびのびとくつろいでいる様子が見て取れ、詩絵は、思わず「平和だねえ」とつぶやいていた。



そして、特別なことは何もないけれど、平穏無事であることの、この「なんと言うこともない幸せ」を大事にしようとも思ったのだった。


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※「以前の記事」06年4月をクリック→目次の「五月になれば」をクリックすれば、フォトストーリーが、また、06年6月をクリック→「心和む牧歌的光景」をクリックすれば、浮間公園の記事をお読みいただけます。
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by pooch_ai | 2007-04-16 06:03

花も最中も、桜、サクラ


    ~播磨坂は、花霞に包まれて~



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 先週から続いていた病院の検査が、やっと全部終わった。結果はまだわからないが、一先ず、ほっとしたので、途中、お花見をして帰ることにした。





 東京にも、桜の名所は数々あるが、前々から一度行ってみたいと思いながら、まだ訪れたことのない播磨坂へ行ってみることにした。霞ヶ関からは、丸の内線1本で行けるから。


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 小石川植物園に程近い播磨坂は、江戸時代に松平播磨守の上屋敷があったことから、そう名づけられたのだそうだ。



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 昭和35年頃、「全区を花でうずめる運動」が進められ、坂が整備されるのに伴い、道路の両側と中央に、桜の木約130本が植えられ、今日まで、大事に育てられてきたとのこと。





 朝のうち降っていた雨も、からりと上がり、ときおり突風が吹き抜けて行くものの、まず、まずのお花見日和とあって、中央のグリーンベルト、別名「ふれあい広場」では、満開の桜の下に陣取って、早や酒盛りが繰り広げられ、子供連れの若いママさんグループや、花を愛でつつ、のんびり散歩を楽しむ人々などで大変な賑わいであった。


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 ここは、細長い公園のようになっていて、坂の途中で、洋風ゾーンと、和風ゾーンに分かれており、坂下の和風ゾーンには、せせらぎが流れ、水辺の散歩道として、年間を通じて楽しめる憩いの場となっている。



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 桜が満開の今は、この中央地帯と、坂の両側の3列の桜が、まさに、空を覆いつくさんばかりで、花霞に包まれたトンネルの先の方は、ぼっーと淡いピンク色に、けぶって見えるのだった。




 頭上の花を見上げながら、ゆっくり桜の下を歩いていたら、突然、一陣の風が巻き起こり、枝がざわざわと揺れて、花びらが宙に舞い散り、「やっぱり桜ってきれい!」と、人を惑わすような、その妖しい美しさにうっとりと見とれて、シャッターを切るのも忘れ、その場に立ち尽くしていた。

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 なぜか、播磨坂の両側には、イタリアンのお店が多く、花を眺めながら、食事やお茶が楽しめるオープンテラスのあるカフェやレストランもあったが、どこも満席だったし、風も強かったので、オープンテラスでの休憩は、次の機会のお楽しみにして、次のお目当ての三原堂へと向かった。



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  “花より団子”ではなくて、“花も団子も”の欲張りな私は、噂に聞いていた桜の花びらを模った、その名も「播磨坂」という最中を買い求めたのだった。






c0019055_115119.jpg この店の看板商品の「播磨坂」には、皮が茶色の、「小豆餡」と、白餡に刻んだ桜ん坊を混ぜた「チェリー餡」の2種類があるが、どちらも良質の素材を使った手作りとのことで、上品な甘さが美味しかった。c0019055_1164629.jpg





 
 個包装に使われているセロファン紙のデザインや、貼られているシールのモチーフが桜なのも、ムードがあって、愛らしく、微笑ましい感じがした。


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 満開の桜をたっぷり眺めた後、桜の花びら型の和菓子に舌鼓を打ち、桜を味わい尽くした“テイスティ”な“テイスティ”な春の午後であった。c0019055_11561226.jpg




 先日来からの病院通いと、検査の不安から、ナーバスになっていたのが、解消されてくるにつれ、地震の被災地の方々のことを思い、このささやかな幸せに、感謝しなくては、と思ったのだった。

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by pooch_ai | 2007-04-01 10:56


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