独り言


とりとめのないつぶやき
by pooch_ai
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めくるめくような、ひととき


   ~ゴージャスな輝きにうっとり~



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 「この世のものとは思えない・・・」と、入り口の掲示にもあったが、白藤の回廊に、一歩踏み込んだ瞬間、思わず感嘆のため息が漏れ、「やはり、来てよかった」と、思ったのだった。





 白藤のトンネルを訪れたのは、今年で3度目であるが、何度見ても、その息を呑むような光景は、到底、筆舌に尽くし難く、ただ、ただ、見惚れてしまうのだった。 



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 振り仰ぐと、シャンデリアのように、天井から無数に垂れ下がった、真っ白な花房が、一斉に風にゆらめき、太陽の光を受けて、クリスタルのような輝きを見せるときの、緑の葉とのコントラスト、そして、ほのかに包み込むような、甘く優しい香り・・・。




 手に手に、カメラやケータイをかざして歩く人々の後について、80メートルにも及ぶ白藤のトンネルの中を、うっとりと夢見心地で進んでいると、王侯貴族にも劣らぬ、リッチな気分になってくるのだった。


 写真を撮りながら、一往復半して、めくるめくような時間を惜しみつつ、真ん中の通路から、横へ出てみたら、藤棚の外側にも、白藤の花房が、びっしりと重たげに垂れ下がり、下に咲く赤いつつじなどと相まって、それもまた、捨て難い眺めであった。

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 以前、この「あしかがフラワーパーク」を訪れたのは、ゴールデンウィークの谷間の、5月1日と、2日であったが、今年は、4月に気温の低い日が多かったせいか、白藤の開花が10日ほど遅れ、「今が見ごろ」と聞いて、突然、思い立って、やって来たのだが、当たりくじを引き当てたような気分であった。

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 紫系の藤は、もう殆ど終わりかけていたものの、白藤は今を盛りと咲き誇り、藤の季節の最後のトリをつとめる「きばな藤」も、咲き始めていた。



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 黄色い藤というのは珍しく、他では見たことがないが、オーストリアとスイスに分布し、日本に入って来たのは、昭和40年代とのことである。







c0019055_12202378.jpg 藤以外にも、フラワーパークという名の通り、正面ゲート近くのフラワーステージを飾る、ピンクのペチュニアをはじめ、ボタンやシャクヤク、シャクナゲ、バラ等々の花々が咲き乱れ、その合間、合間には、ドーム型のトレリスが設置され、純白や濃い紫、ピンクなどのクレマチスが彩りを添えていて、あたり一面が馥郁たる香りに包まれていた。
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 “モネの池”では、水に浮かぶスイレンが開き始め、まるでモネの「睡蓮」の絵を見る思いであったが、風で岸辺に吹き寄せられた藤の花びらが、水面に描き出した絵模様も、風情があって美しかった。


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 広い園内は、おびただしい人の群れで、溢れんばかりであったが、浮島のように、池の中にしつらえた花壇の花に見とれたり、バラのアーチの下で、記念撮影をしたり、フラワーショップや観光物産館で、鉢植えや土産物を選んだり・・・と、初夏の日差しを浴びながら、色とりどりの花に囲まれ、皆一様に、幸せそうな笑顔を浮かべていた。
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 この日は、朝のうち、突風が吹き荒れていたのだが、幸い、列車の遅れもなく、風も昼ごろには止んで、花をたっぷり眺めながら、写真を撮って歩くうちに、心身がリフレッシュされ、活力が漲ってくる気がして、これは、もしかしたら、白藤の花の精から、霊を授かったのかも知れない、と思ったのだった。

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 ただ、残念なことに、家に帰ってから、撮ってきた写真を、PCに取り込んでみたところ、どれもイマイチで、未熟な私の腕では、あの白藤の美しさを表現することは、至難の技であることを思い知らされたのだった。
さあ、明日から、精進、精進!!

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*写真をクリック→左上に出た小窓を最大化すれば、写真を拡大してご覧いただけます。 
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by pooch_ai | 2007-05-18 13:04

神楽坂ぶらぶら歩き

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    ~TVで人気の黒板塀と石畳の街~
 





 
 一歩外へ出たとたん、冴子は、陽射しのまぶしさに、思わず目を細めたのだった。





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 飯田橋ギンレイホールで上映中の、「幸せな食卓」と「涙そうそう」の2本立ての映画を観に行こうと思って、家を出たのだが。




 このところ体調が悪く、病院とスーパーへ買い物に行く以外、家に閉じ篭っていたのだが、その間に、外は、もう、すっかり、初夏の陽気に変わっていたのだった。

 街路樹の緑は、一段と色濃さを増し、駅へと続く家々の生垣や庭には、つつじや藤、バラ、てっせん、ジャスミン等々の花々が、今を盛りと咲き誇り、通る人の目を楽しませてくれていた。


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 神楽坂の裏通りにあるギンレイホールは、今では、数少なくなった、いわゆる「名画座」系の映画館だが、同じ監督の作品であるとか、同じ国、同じジャンルの2本立てなど、プログラムの組み方が、映画ファンにはたまらない魅力で、冴子も、何度か足を運んでいるが、この日も超満員の入りであった。


 「涙そうそう」の方は、まあ、まあだが、「幸せな食卓」は、なかなか良かったな、と満たされた気分で、映画館を出た冴子は、神楽坂商店街へと向かって、ぶらぶら歩き出した。


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 神楽坂通りの入り口に、「不二家」のフランチャイズ店があり、甘い匂いが漂っていたが、外から覗くと、ガラス越しに、「ペコちゃん焼き」を焼いている職人の姿が目に入った。




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 ペコちゃんの顔をかたどった生地に、小倉餡やカスタードクリームを入れて焼いた「ペコちゃん焼き」は、この店の独自商品であるのに、本社の不祥事で、一時は、販売を自粛していたのだが、再開と同時に、どっと客が押し寄せ、大変な人気だとか。





 予約制と聞いて、買うのを諦め、商店街のゆるい坂を上って行くと、今、若い人たちの間で、神楽坂が人気とは聞いてはいたが、予想以上の人出で、通りがごったがえしているのに、冴子は驚いた。

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 彼女も、毎週、欠かさず観ていたが、TVドラマ「拝啓父上様」の舞台となっていたのが、この神楽坂にある老舗の料亭のため、商店街から横にそれた細い路地裏でも、カメラを持った人たちの姿が、何人も見受けられた。
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c0019055_1594656.jpg 修行中の板前である主役の二宮和也と共に、ドラマの中にもよく登場していた黒板塀の料亭や、石畳が続く路地を歩いていると、どこからか、三味の音が聞こえてくるような錯覚を覚えて、冴子は、思わず立ち止まり、周囲を見回したのだった。



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c0019055_1524666.jpgやがて、先方に毘沙門天の赤い鳥居が見えてきて、ドラマの冒頭で、二宮和也と、新入りの弟分が初めて出会ったのが、ここだったな、と冴子は懐かしさを覚えながら、境内へと入り、「二宮和也もいい役者だけれど、今日の映画の若い二人も、有望株だな」と、吊るされた絵馬を見上げていたら、主人公たちが、高校の合格発表を見に行ったシーンが、オーバーラップして、思い出されてきたのだった。




 「幸せな食卓」は、吉川英治文学新人賞を受賞した瀬尾まいこの小説を映画化した作品で、一口に、家族崩壊と、再生のドラマ、と、言ってしまえば、それまでだが、冴子にとって、親子とか兄弟、友人、愛、生と死、など、色々と考えさせられることの多い映画であった。




c0019055_15372751.jpg父親の自殺未遂後、家を出て、一人暮らしをしながら、ときどきやって来て、家事をしていく母。ある日、突然「お父さんを辞める」と宣言した父。天才児でありながら、大学へ行かずに、農業を始めた兄・・・。中学生の主人公、佐和子を取り巻く、そんな変な家族を描きながらも、ぬくもりが感じられる、まさに、「優しくて、切なくて、あったかくて、一寸、おかしい」のうたい文句通りの映画であった。





 特に、冴子(サエコ)とは一時違いの、主人公の佐和子(サワコ)と、彼女へのクリスマスプレゼントを買うために、新聞配達を始めたのに、その帰りに、交通事故死してしまうボーイフレンドとの、この二人の関係が爽やかで、ほほえましかった。



c0019055_15415515.jpg  同じ高校を目指す二人が、予備校で顔を合わせたとき、男の子が「“切磋琢磨”しながら頑張ろうな」とか、「これからは、切磋琢磨に加えて、“臥薪嘗胆”だ」と、盛んに 四字熟語を口にしていたことを思い出し、 なんだかおかしくなって、「フ、フ」と笑ってしまった冴子だったが、その脳裏に、中学時代の友人の顔が浮かんできて、一寸切なくなった。



 岩波で、辞書編纂の仕事をしていた彼と、精神科の医師であるもう一人の友人と3人で、久々に会う約束をしていた矢先に、彼が、胃がんの手術で入院することになり、胃がんでは、先輩格(?)である冴子は、現代医学を信じて、すべてを医者と看護師にまかせ、リラックスして、病院生活を送るようにと、励ましたのだった。



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 手術後、見舞いに訪れたときも元気そうだったので、順調に回復しているものとばかり思っていたのだが、退院して半年後の新年早々に、腹痛のため、救急車で病院へ運ばれた彼は、そのまま、あの世へと旅立ってしまったのである。




 その彼の最後の仕事で、解説文も彼が書いたという「四字熟語辞典」が、彼の死後、奥様から、冴子たち友人宛に、送られてきたのだった。
 


c0019055_1604189.jpg 何故、皆、自分を追い抜いて、先に逝ってしまうのだろう。これまでに、どれほど辛い別れがあったことか。
ヒリヒリするような、痛みを伴った記憶が、まざまざと蘇ってくるにつれ、冴子は、「やはり、人間関係は、薄めのアメリカン・コーヒーぐらいが丁度いいのだ」と思ったのだった。 その関係が、濃密であればあるほど、いよいよという日が来たとき、別れが辛くなるわけだから。




 そんなことを考えながら、路地裏を抜けて、広い通りへ出た冴子が、ふと空を見上げると、頭上に、白い大きな雲が浮かんでいたのだった。
それを目にしたとたん、冴子は、思わず、「雲はいいなあ!」と、独り、心のうちでつぶやいたのだった。「青い、青い空に、ぽっかり浮かんだ白い雲になって、好きなところを漂いながら、いつの間にか消えてなくなれたら、どんなにいいだろうか」と。  
 

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by pooch_ai | 2007-05-10 16:31


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