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~水辺に咲く、謎めいたその姿~ 夏至から、11日目に当たる、7月2日は半夏生(はんげしょう)。関西では、昔から、田に植えた稲の苗が、“タコ”の足のように、大地に広がって根づき、豊作になるようにとの願いを込めて、半夏生に“タコ”を食べる習慣があったそうだ。 この半夏生を数日後に控えた、ある昼下がりのことだった。梅雨の晴れ間に、紫陽花を見に行った多摩川台公園で、「半夏生」の名を持つ花に、偶然、出会ったのである。 大岡山に、四半世紀余りも住んでいたのに、当時は、仕事に追われる毎日で、目蒲線なら、たった2駅先のこの公園に、足を向けたことは一度もなかった。 それが、大好きな紫陽花の名所であると知り、懐かしさも加わって、出かけてみる気になったのだった。 公園の一角を占めている「紫陽花園」では、7種類3000株の花が見頃を迎え、訪れる人々の目を楽しませてくれていた。 色とりどりに咲く紫陽花は、それなりに美しく、中には、小花の固まりのような、珍しい純白のコアジサイもあり、何枚かカメラに収めもした。 だが、かなり前に、浮間公園で、早々と咲き始めていた紫陽花を鑑賞。写真も撮ってきて、blogにもupしていたせいか、感激は薄かった。 期待が大きかっただけに、肩透かしを食わされたような、軽い失望感は否めず、もうひとつ弾まない気持ちを抱えたまま、紫陽花園を後にしたのだった。 このときは、まだ、この後、予期せぬ出会いに、胸をときめかせることになろうとは、思いもせずに。 多摩川沿いの丘陵地に広がるこの公園は、多摩川八景の一つでもあるが、快適なお散歩コースになっている自然林を抜け、石段を上って行ったら、小さな池に辿り着いた。 最初、その光景を目にしたときは、一面に白い花が咲いているのかと思った。が、近づくにつれ、花は真ん中の穂の部分だけで、花びらのように見えたのは、葉が白くなったものだとわかり、その瞬間、「これが、話に聞いていたハンゲショウに違いない」と、思ったのだった。 別名カタシログサとも呼ばれている「ハンゲショウ」の名の由来は、半夏生の頃、茎の上部の葉が、白くなるためとか。 また、白くなった葉色を半化粧にあてたとの説もある、と、以前、本で読んだことがあり、それが印象的だったのだが、これまで、ついぞ、ご対面の機会に恵まれなかったのである。 それが、まさか、紫陽花を見に来た公園で会えようとは、なんという幸運。 先ほどまでの、萎んだような気分はどこへやら、うれしさに、何枚か続けて、シャッターを切り続けたのだが、まるで、誰かが、絵の具でも塗ったかのように、葉が半分だけ、白く染め分けられている様に、改めて、自然界の神秘さを感じたものである。 因みに、“ハンゲショウ”の花言葉は、「内に秘めた情熱」とか。 水辺に咲く、謎めいたその姿は、“静かに燃える白い情熱”を湛えているように、思われたのであった。
by pooch_ai
| 2006-07-01 13:48
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